知能指数いわゆるIQの分布は左右対称
必要な教育は全ての子供に受けてもらうっていう面が、大事なんですよね。
勉強ができる人についても、本人だけにその利益が返ってくるというわけじゃなくて。
例えば本当に優秀なお医者さんがガンの特効薬を作りましたと。
そうすると便益が社会全体には及ぶ可能性がありますよね。
ですので国がお金を使って、一定水準の教育を受けてもらうことが必要だという、考え方が出てくるんですね。
なるほど。
ただ教育全般で考えてみると勉強が得意なタイプの人は、より長い期間教育を受ける側面があるので、もともとあった格差を更に拡大してしまうような側面も、教育って持ってるんですね。
ちょっとグラフを使って考えてみたいんですけども。
大体人の能力っていうのが、IQスコアがどんなふうに分布してるかを見ると、こう左右対称な分布になってるんですね。
なんですけど所得の分布を見てみると、左側にどちらかというと固まっていて、右のすそ野がすごくこう厚い。
こんな形のゆがんだ分布になってるんですね。
知能指数いわゆるIQの分布は左右対称です。
しかしIQが高い人は長い期間教育を受け、学歴が高い傾向にあり所得も高くなります。
所得別の分布はピークが左寄りになり、低所得者が増えます。
これは格差の広がりを意味します。
教育という仕組みが世の中にあるがゆえに格差が拡大すると。
そういう考え方ですね。
なるほど。
こっちにいるんですね、教育を受けた人たちが。
なるほど。
それで所得が低い人が増えたっていうことなんで、もともとの能力がそれほど高くない人の教育を手厚くして、所得を底上げするべきだっていう考え方も1つありますよね。
格差を是正する。
そのために効果を発揮するのも教育です。
能力がさほど高くなくても充実した教育が受けられる制度を、作ることで社会全体の底上げを図ることができます。
しかし歴史をひもとくと教育制度を改善しても、格差が埋まらなかった例がありました。
18世紀半ばイギリスでは産業革命が起こりました。
工場などでは教育を受けていない子供たちが、極めて低い賃金で働いていました。
19世紀後半になって義務教育が導入されましたが、すでに雇い主と労働者の階級は固定され、所得の差も埋まりませんでした。
一方日本では第2次世界大戦後、仕事を求めた大量の人々が農村より都市部へと移動。
時を同じくして高校教育が普及しました。
当時の高校教育は質の高い労働力を供給し、高度経済成長の原動力となりました。
次第に所得格差は縮小し一億総中流社会が生まれたのです。
ゆとり教育は経済学的にどのような意義があるんですか?
勉強の時間を減らしてしまうという制度の変更なので、学力をつけさせるという意味では問題がありますよね。
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