著作権の「保護期間の価値」を計算する
著作物を作った人が努力して作った労力に見合った、投資したコストの回収の期間として亡くなったところよりも、更に先まで保護するのがバランスがとれていると、現行法では考えてるということです。
なるほど。
知的財産権の長さこれはどうやって経済学では考えるかを、ちょっとお勉強してみましょう。
著作権の「保護期間の価値」を計算するには、「時間割引」の効果を考えに入れなければなりません。
今もらえる1万円と1年後にもらえる1万円では、経済学的に価値が違います。
例えば年5%の利子が付くとき、1万円は1年後に1万500円になります。
逆算すると1年後の1万円は、現在の価値では9524円にしかなりません。
つまり1年後にもらえる1万円は現在の価値に換算すると、1万円より安くなってしまうのです。
同じ1万円が2年後3年後にもらえるとすると、さらに少なくなります。
たとえ毎年同じだけ著作権収入があったとしても、その総額を現在の価値に直すとかなり目減りしてしまうのです。
これを著作権で考えればこういうグラフを描くことができます。
著作権って作者が亡くなってから、個人の場合には亡くなってから50年間。
こういう権利ですから、今ここで本を書いたとしましょう。
今から50年後に亡くなる。
はい。
フフフッ。
もっと長生きしてほしいですけどここは設定ということで。
結構長生きできると思いました。
50年後だったとすると、そこから50年間権利があるということになりますよね。
本を書き毎年同額の著作権収入が得られると、仮定します。
ここで利子率が年5%で変わらないとすると、10年分の著作権収入は現在の価値に直して、実質的に何年分の収入になるでしょうか?
現時点から考えて10年後、全部合わせると大体8年分ぐらいになると。
そして権利が50年あったら19年分。
これが100年になったとしても21年弱なんて計算になりますが。
100年権利があっても自分としての価値は、21年分しかないってことですか?
そういうことですね。
今本から収益を得る権利を誰かに売ったとするじゃないですか。
誰かに販売するときにいくらで売れますかという計算だと、思ってもいいわけですよ。
今まとめて売っちゃえば、今自分で得ることもできると。
ただ権利が延びたからといって、例えば亡くなってから50年間から亡くなってから70年間、100年から120年に延ばしたとして現時点で評価すると、1か月分ぐらいにしかならない。
ほとんど変わらないですね。
体感では20年は大きいのかって思いますけど、実際には計算すると1か月分延びたぐらいにしかならないと。
正直な感想を言うとそんな縮む?
というのが…。
結構目減りしてますよね。
いやいやもっと価値あるよって。
その10年20年には価値があるよとやっぱ考えてしまうから、今は経済学的なだいぶ減ったな。
金銭的な面で見ましたが、著作権というは必ずしも財産権の側面だけじゃなくて、人格権としての側面もあるんですよね。
作った人の気持ちそして自分の書いたものの権利が、できるだけ長く保護されたいと思うようなそういう気持ちも、また配慮する必要があるんでしょうね。
いろんな立場からの考え方があって、なんかすごい奥が深いなと思いました。
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