「ハイパーインフレーション」といわれる急激なインフレ
先生デフレで物価が安くなっても、全ての人の所得がそれと同じように下がっていけば、結局何も変わってないようになるんじゃないかと思うんですが。
日本中で全てのモノに関してゼロを1個取って、単位を変えましょうとしたとします。
それが全てに適用されればたぶん計算が変わるだけで、他には何にも影響ないと思うんですね。
なんですけど名目的な金額が固定されていて、変えられないモノっていうのがあるんですね。
お金として持っていれば1000万円は名目的な金額として、変わらないわけです。
もう一つの点が、動くのに時間的なラグがすごくあるという事なんですね。
必ずしもデフレになったからみんな一緒に下がるという訳にいかない。
そこでいろんな問題が生じてくるということなんです。
なるほど。
そんなデフレやインフレもあまりにも激しさを増していくと、全ての人々に悪い影響を及ぼすようになります。
第1次世界大戦後のドイツでは「ハイパーインフレーション」といわれる、急激なインフレが発生しました。
敗戦により莫大な賠償金を科せられたドイツは、深刻な経済的打撃を受け、1か月のインフレ率がおよそ3万%に達します。
これはお金を2日間持っていると、その価値が半分になってしまうということでした。
たとえわずかな時間でも人々は手にした現金を持とうとはせず、すぐにモノに換えようとしました。
お店には朝から長い行列ができ労働者は1日に何回にも分けて、賃金を受け取って休み時間に買い物に走ったのです。
「カゴいっぱいのお札を置き忘れても盗まれるのはカゴだけで、お札はその場に残されていた」というジョークまで生まれました。
通貨の暴落が加速度を増し政府は回収した紙幣にハンコを押して、配り直しました。
それでも物価は戦前のおよそ1.3兆倍にもなったのです。
危機に陥ったドイツはカール・ヘルフェリヒという元大蔵大臣が考えた、暫定通貨「レンテンマルク」を発行します。
レンテンマルクは土地を担保にして発行されたためその価値が安定。
物価の変動を抑え込むことができました。
ハイパーインフレはわずか5日間ほどで沈静化。
「レンテンマルクの奇跡」と呼ばれたのです。
一方激しいデフレの代表は1929年に始まる「世界恐慌」です。
4年間にアメリカの消費者物価は25%下落。
失業率は8倍以上に上昇しデフレと不況が同時に人々を襲ったのです。
デフレになると失業率が上がるというのが問題なんですかね?
実は経済学ではフィリップス曲線という説明がされているんですけど、インフレが高い時ほど失業率は低い。
逆にインフレ率がすごく低くなってくると、失業率が高くなってきますよっていうことで、こういう関係が成り立っている国が多いということで、言われてきたんですね。
はい。
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