「情報の非対称性」って
これねスタッフの自宅の近所で売ってるマツタケなんですけど、1,000円だったそうです。
1,000円!はい。
8倍の値段で売ろうとしてたんですか?
今。
実は。
ハハハッ。
ひどいですね。
まあこれ価格からして国産じゃないですね。
そうですね。
丹波っていうことはないですよ絶対。
もしかしたらカタカナ表記の「タンバ」が世界のどこかにあるのかも…。
アハハッ。
でもねどうして信じたんですか?
いやだって大学のね先生が、そんなウソつくとは思えないじゃないですか。
去年次々と発覚し世間を騒がせた食品の偽装表示問題。
一体なぜ偽装するのか?
どうしたらだまされないのか?
大竹先生経済学で分かるんですか!?
ああ。
なんか信頼できるっていうブランドが一度確立したものだと、みんなそれを信じちゃいますね。
それがブランドですよね。
食品のように産地とか取れた日時とかっていうのは、売り手は情報を持ってても買い手は情報を持ってない。
こういう状態なんて言いましたっけ?
情報の…。
「情報の非対称性」があるわけです。
売り手は知ってるけれども買い手は知らない。
はい。
だからどこで取れたものかについては、そういう非対称性がある。
はい。
その時に買い手はですねありとあらゆる情報を集めて、正しい情報かどうかというのを確認しようとするわけですよね。
でその時に、私の職業が大学教授だという情報を持ってるということで、大学教授はウソをつかないだろうというふうに結びつけた。
はい。
だから大学教授というのはシグナルになってて、私が売ろうとしているマツタケは、1万円の価値があるというふうに信じたんですよね。
はい。
食品の偽装表示問題では、有名デパート老舗ホテルの名前がシグナルとして働き、消費者の多くは表示を疑う事なく信じ込んでしまっていたのです。
はぁ…。
もちろんね食品の偽装表示したホテルやデパートというのは、悪いのは当たり前なんですよ。
でも経済学的に考えてみたら、老舗だとか有名だからっていうことで、ホテルやデパートの看板信じるっていうのは、消費者の行動としては当然かもしれないですけど。
そうすると一度いい評判が付くと、それをそのまま使ったらあんまり努力しないでも、いいものだと思ってくれるというところが、ホテルやレストランには出てきますよね。
はい。
デパートにもそうです。
逆に消費者の方もこだわって選んだからこそ、老舗や有名という他の…まあ他人が付けたブランドじゃなくて、自分の感覚で自信を持って、善しあしの判断をするということをしてたら、企業側のブランドを悪用するということも減るかもしれないですよね。
「これいいって言われてるけどあまりおいしくないじゃないか」ということを自分で感じたらそれをそのとおりに、行動できるようになればずいぶん違いますよ。
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