意思決定にバイアスがあるっていうこと
これはリスク回避型だと思うんですが末期ガンのような状態で、もう有効な治療が無い状態の時には、「すごく副作用があるかもしれないけど新しい薬どうしますか?」、リスクを追求してでもなんとか生きたいと思う人が多いんですね。
だから損失をやっぱりなるほど。
死という損失を避けるがために、非常に今度は死に近い副作用が強いものをあえて選んでしまう。
ええ。
というちょっとパラドックスみたいですけどそういう選択を。
損をするっていう損失局面ではそういう事をしがちなんですよね。
なるほど。
そういう状況に追いつめられると、やっぱり冷静に考えたらそういう選択をしないはずなのに、つい危険な方を選んでしまうっていうのがどうもありそうですよね。
まあその末期ガンの状況ではねやっぱり医者の側からすると、この薬を使うと効き目を期待するよりも、副作用で寿命を縮める確率の方がはるかに高いと分かっているのに、つらいんですよね。
治る事だけにこだわらない選択もあるよって、ことを分かってほしいですね。
久坂部さんお父様のケースは…。
父はこの前自宅で亡くなったんですけどね。
前立腺ガンと言われてたんですがもう85歳の時に言われたんですが、「もう十分生きたからなにもせんでいいで」と言って、家で安らかに本当に苦しまずにね、私と母と家族にみとられて亡くなったんですけどね。
やっぱり人間の死に対しては医療というのは無力なんですよね。
それを認めて医療を控えて自然に見てるとですね、要するに江戸時代とかの死に方なんですよね。
はい。
苦しまないですよ。
昔はみんな家で安楽に死んでましたんでね。
それもやっぱり医療をすればちょっとでも長く生きられるとか、ひょっとしたら治るんじゃないかという幻想が後押ししてるんで、やっぱり死に対しては医療というのは基本的には、無力ということをしっかりとわきまえると、安らかに死ぬ人増えるんじゃないかなと思いますけど。
でもなかなか難しいですよね。
さっきの損失回避のバイアスっていうのは、やっぱり誰にでもあるわけですよね。
そのときにこう放っておいたらこうなるという事が分かってて、でもやればひょっとしたらよくなるかもしれないが、もっと悪くなるかもしれないっていう選択に直面したときに、どうしてもギャンブルしたくなるというのが…。
そこはできるだけ事前に考えるしかないんですね。
死が迫ってきてから、いろいろしようと思うと冷静じゃないでしょ。
だからやっぱりどうしても振り回されるんで、元気なうちから死ぬ時のことをあるいは家族が死ぬ直前に、どうするかとかいうことをねやっぱり元気なうちから、やっぱり勉強したり考えておくことが大事なんですね。
人気のあるうちに人気がなくなった時のことを、考えるっていう…。
嫌なこと言いますね。
なるほど。
考えておいた方がいいですねでもね。
準備をちゃんと。
今回医療の経済学を学んでみていかがでした?
そうですね。
全く医療について知らない事だらけなんですけど、自分でももしかしたら最低限のことは、学んでおく必要があるのかなと思いましたね。
そうですね。
患者の側としても医療についてよく知らないと、まずいっていうことは分かりましたよね。
そうですね。
患者のほうもいろんな意思決定に直面しますけども、お医者さんも無意識のうちにいろんな意思決定をしてて、それにバイアスがあるかもしれないということも分かったんですよね。
そうですね。
意思決定にバイアスがあるっていうことを、お互いよく知ってないと正しい判断ができないという事ですよね。
そうですね。
正直いろいろ話を聞きすぎて、おなかまた痛くなってきましたね。
そうなんですか。
じゃあ医者に行かないとダメですね。
そうですね。
ただいろいろ考えてしまいますけどね。
病院行くのも。
ねえ。
このお医者さんなんかバイアスないかっていうことですか?
聞いてみます。
「バイアスかかってないですか?」ってお医者さんに。
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