ヒューリスティックバイアス
あっこれもヒューリスティックバイアスなんですかね。
どうですか?
ヒューリスティックっていうのは近道とか手っ取り早いという意味なんです。
はいはい。
だから一生懸命真面目に考えるっていうのは、結構面倒くさいことですよね。
だから過去の嫌な経験とか、失敗体験とか今までの経験だけでゼロから考えるんじゃなくって、経験に基づいてパッと意思決定する方が簡単じゃないですか。
だからそういうことが無意識に私たちは意思決定に使っています。
そういうとき。
そういうのをヒューリスティックバイアスっていうんです。
医者も手術するときにですね同じ病気でも、手術法はいくつかあるんですよね。
ただ胃がんの手術だったら、胃を取ったあとの腸をつなぐつなぎ方なんかが、いくつも種類が…方法があるんですけどね。
ある方法でうまくいかなかった経験をした医者は、その次の症例で、その方法をやっぱりどうしても避けたくなっちゃうんですよね。
あの嫌な感じがどうしてもしちゃうんで。
そういう心理的な影響を人間って受けやすいということを、医者が知っておいたらちょっと誤診とかね判断ミスが、減るんじゃないかなと思いますけども。
僕らがお笑い芸人をやってるんですけど、部屋を借りる時とかにやっぱり大体不動産屋とか大家さんに、「お笑い芸人はもううるさいから部屋貸さへん」って、それも完全なヒューリスティックバイアスで、成人男性で僕並みにおとなしいやつなかなかいないんですよ。
物音一つ立てずに生活するタイプの人間なんですけど、絶対普通の学生さんよりおとなしいし、友達もおらんしって僕は。
だから次に部屋を借りにきた、お笑い芸人さんは運がいいんですよ。
そうですよね。
リスク回避の話ってご存じですよね?
はい。
あの何回かやってきましたよね。
はい。
いろんなその…少しでも自分にリスクのない方を選んでいくという。
ああそうですよね。
だから普通は、リスクを回避するっていう話がありましたよね。
人はお金をもらえる時は手堅く、少なくても確実にもらえる金額を選びがちです。
一方で失う時は大きな損をする可能性があっても、それに賭けてギャンブルをしてしまうということが、多くの実験で分かっています。
失う方だとどうもリスクを愛好する可能性があるということですよね。
少し損をするぐらいだったら全く損をしない可能性がある、ギャンブルをしてしまうということがあるんですよね。
久坂部さんこういうのに近い現象は医療現場でありますか?
あの一般的には患者さんにお薬を出すときに、効果も強いけど副作用も強い薬と、効果はそんな強くないけど副作用の少ない薬っていうと、副作用が少ない薬を選ぶ患者さんが多いんですよね。
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