「コモンズの統治」という研究
子供の頃母親がチョコレートのこういうでっかい袋に、いっぱい入ってるのを買ってきてくれると、僕3人きょうだいで姉が2人いるんですけど、やけに減りが早いんですね。
ああ。
すぐ無くなるんですよ。
なんかおかしいなと。
一回2番目のお姉ちゃんの枕を、めくってみたらそこにいっぱい隠されてあって…。
今言った例も典型的な「コモンズの悲劇」ですよね。
他にも現実に大きい問題になるのは魚を取り過ぎちゃうという。
共有の漁場でそれぞれの漁師さんが、我先にと取ってしまって全体で魚の数が減ってしまうとか。
あとは森林伐採とかもそういうところがありますよね。
木々が無くなっていってるにもかかわらず「切るんや」と思うけど、切ってる人からしたら商売のために。
伝統的な経済学の中から提案された解決策は2つあります。
一個目は誰か政府みたいな人に管理を任せるってこと。
もともとさっきの例で言うと、安田農場と農場が共同で管理してましたが、そうじゃなくて第三者の政府に管理を委託すると。
で政府が放牧する牛の数をコントロールしたりとか、あるいは1頭入れるごとにいくら払って下さいという形で、入場料税金みたいのを取るという話ですよね。
適切に税金を設定すればうまく使いすぎを防ぐことができると。
もう一個は私有しようと。
私有。
私有。
例えばこの牧草地を半分に切ってこっち側は僕のモノ。
向こう側はモノという形にすると、今度は牧草地に牛を入れてもコストを全部自分で負担しないといけない。
そうすると食べ過ぎちゃって草がなくなると自分が困るので、牧草地に牛を入れすぎない。
う~んなるほど。
その政府が管理するというのとあと私有化するというのと、その2つ以外になにか解決策ってないんですかね。
実は第3の解決策がありまして、コモンズをコモンズのまま自分たちだけでうまいこと管理・統治していこう。
それによっても共有地の悲劇を防いで、統治ができるかもしれないことを明らかにした人がいるんです。
それがエリノア・オストロムという女性の研究者の方です。
「コモンズの統治」という研究によって、2009年にノーベル経済学賞を受賞しています。
エリノア・オストロムは世界各国のコモンズを調査。
自主管理に成功しているさまざまな例を発見しました。
その一つが15世紀から続くスペインバレンシア地方の灌漑システムです。
農民たちは川の水をうまく共有するため、自分たちでルールを決めていました。
運河の水を上流の農地から順番に水門を開けて引き込みます。
こっそり水を使う者が出ないように係を決めて、お互いを監視します。
もしルールを破ると罰金が科せられました。
「シェアを経済学的に考える」カテゴリーの関連記事