オストロムは「コモンズの統治」を理論化
罰金は僅かでしたがルール破りは恥ずべき行為だと考えて、違反者はほとんどいませんでした。
こうした事例からオストロムは「コモンズの統治」を理論化。
女性として初めてノーベル経済学賞を受賞しました。
オストロムは「コモンズの統治」がうまくいくために、いくつかカギとなる要因を挙げていたんですが。
もともと「コモンズの悲劇」がなんで起こるかというと、自分だけはたくさん使ったり食べたりすると得なわけですよね。
そういった誘因は残ってるはずなのに、なんで統治がうまくいくのか?
からくりをうまく説明できるのは、長期的な関係を通じてお互いに裏切らないたくさん消費しない、インセンティブを作り出せるという話が知られています。
ここでは非常に単純な例として、今僕とルームシェアしてると。
電気を節電するかしないかという選択肢にお互い直面してるような、状況を考えていきましょう。
節電すると月に4000円電気代が安くなるとします。
電気をふだんどおりに使うと不便はないのでゼロ。
電気を使わないと不便になるのでその分お金に換算すると、3000円分のマイナスがあると考えます。
2人とも節電しないと2人ともゼロ。
2人とも節電すると電気代が4000円安くなりますが、電気を使えないので3000円分不便になり1000円。
節電せず安田先生だけ節電すると、4000円の半分2000円電気代が安くなるので、利得は2000円。
一方の安田先生は節電で2000円の利得がありますが、電気を使えないので3000円分の不便があり、マイナス1000円となります。
逆の場合も同じです。
節電するしない、どっちの方がいい選択肢の気がしてきますか?
自分のことだけ考えると節電しない方が得ですけど。
これ昔やった「囚人のジレンマ」というゲームになっていて、僕が節電しても節電しなくても自分の事だけ考えると、節電しない方がした場合よりも利得が大きくなってますよね。
はいはい。
ということでお互いにそういうふうに考えると、節電をしなくて結局右下の状況になってしまうと。
だけどうまく節電をお互いにできると、2人にとってより望ましい1000円と1000円ウィンウィンの状況が、達成できるわけじゃないですか。
でここでカギを握るのが、長期的な関係でもしも節電ゲームが1回だけだとする。
例えばルームシェアしてるんですが今月でルームシェア解消というのが、分かってるとするともう来月がないのでお互いに節電できずに、右下になってしまうと思いますがずっと住み続けている場合には、きちんと節電した方が得になる。
そうですね。
やっぱり知り合いとかもともと信頼関係のある人同士のほうが、うまくいきそうですね。
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