「ロゼトの奇跡」ロゼトの心臓疾患による死亡者数は他の町と比べおよそ7分の1と極端に低いことが分かった
情けをかければそれが巡り巡って自分に返ってくる。
情けつまり人に対して思いやりを持ちなさいという教訓が、「情けは人の為ならず」なんですね。
実際ね地域の人々の中で、信頼関係が生まれているかどうかというのは、実は経済にも大きく影響するっていう事が分かってきてるんですよ。
そうなんですか。
例えば…、あんまり犯罪が起こらないとか。
…と言われてるんですよね。
そういう信頼や仲間意識の積み重ねの結果というのが、社会をよりよくする。
活性化して効率性を高めてるということも言われてるんですね。
そういう社会の活性化をもたらすような近所づきあいとか、人のつながりというのを「ソーシャル・キャピタル」と言うんですよ。
ソーシャル・キャピタル。
はい。
今経済学で最も注目されているトピックの一つ「ソーシャル・キャピタル」
ソーシャル・キャピタルの一番よく知られてる有名な例があるんですよ。
それちょっとお話ししようと思うんですけどね。
アメリカのペンシルベニア州にロゼトっていう、人口1,000人ぐらいの小さな町があるんですよ。
1950年頃アメリカ東部の小さな町ロゼトに、研究者の注目が集まりました。
石の切り出しが主要産業の決して豊かではない町。
しかしロゼトの心臓疾患による死亡者数は他の町と比べ、およそ7分の1と極端に低いことが分かったのです。
「どうしてなんだろう?」というので、「ロゼトの奇跡」と言われてたんですね。
「ロゼトの奇跡」
カッコいいですね。
そうですね。
それで学術研究がいろいろ出たんです。
何が原因だったと思います?
この話の流れからいくと、人間関係が関係してるんですかね。
そう。
実はロゼトはイタリアからの移民の町。
他の町に比べ町民の共同体意識が強く、親密なコミュニケーションがありました。
何かあっても周りが助けてくれるという安心感。
研究者はその安心感こそが、心臓疾患を減らしているのではと考えました。
そうするといろんな災難とか困難に直面したとしても、お互いみんなで助け合うと。
だからそういうことが一種の保険になってて、健康にもプラスだったんじゃないかと言われてるんですよ。
ところが1960年代になるとロゼトの町の…、世代が変わり徐々にソーシャルキャピタルが低下したことが原因と、考えられています。
なるほど。
だからやっぱり共同体意識は結構大事ですよね。
日本でもそういう研究が言われてて、ハーバードのカワチ先生という人がいて日本人の長寿は、食生活とか遺伝子とか医療保険制度が整ってるとか、いろいろ言われてるんですがそれだけではどうも説明できない。
地域の強いつながりというのが日本人の長寿に、影響してるんじゃないかという指摘もあるんですね。
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