「一億総中流社会」が誕生
格差社会とはいつ始まったのでしょうか。
日本の格差は明治維新のあと産業の発達と共に拡大しました。
第2次世界大戦まで僅か1%の富裕層が、全体の所得の20%近くまで占めていました。
しかしその比率は急激に減少します。
所得の内訳を見てみると、戦前はある程度の割合を占めていた、地代や株式配当などの収入が、戦後はほとんどなくなります。
戦時体制とその後の占領政策によって、働かずに得られるお金が激減したのです。
戦後富裕層の所得は、給与などの労働所得が大半を占めるようになりました。
そのため日本は長い間、富裕層の所得がそれほど大きくはなかったのです。
やがて高度経済成長と共に世界的にも例を見ない、格差の小さい「一億総中流社会」が誕生します。
「一億総中流」という言葉は聞いた事あるんですけど、あれは一体何なんですかね?
日本の戦後の経済成長の中で、賃金格差があまり発生しない中で経済成長していったという、そういう状態の事を言いますね。
戦争が終わった時には農村部に多くの人がいたんですけれども、その人たちが成長する製造業で、ブルーカラーとして働いたりとかいう中で、労働者の技能も、高い技能が求められるようになってきたので、それに対応して高校への進学率とか、大学への進学率というのも上がっていって、だんだんとお給料が高くなるといったような好循環が起こって、多くの人にチャンスが広がるような社会が出てきたというのが、一億総中流の時代だったと言えると思います。
みんなが少しずつ伸びていったというか、いい状態になっていったという。
そうですね。
一億総中流の時代っていうのは、世界的に見てもあまりなかった時代なんですか?
成長と平等化というものが同時に起こるというのは、それなりに珍しい事だったのかなと思いますね。
しかし一億総中流の時代は、1970年代のオイルショック以降収束に向かいます。
そして今再び格差が広がってきたといわれています。
経済学では格差の大きさを表す指標として、よく「ジニ係数」という数値を用います。
所得の低い人から順々に、その所得を足し合わせていったグラフを作ります。
もし国民全てが同じ所得、つまり完全に格差のない社会なら、グラフは直線になります。
しかし所得に偏りがあると、このグラフは直線から外れ丸みを帯びていきます。
ジニ係数とは、格差のない直線状態からどの程度グラフがずれたのか、直線と曲線で囲まれた部分の面積で表したものです。
格差が大きくなるほどジニ係数は大きくなります。
これが…例えばこうだったらどうですか?
この直線とこの曲線の間の面積が比較的小さいですので…、これだと平等に近いという事ですね。
そうですね。
じゃあ…。
これだったらどうなりますかね?
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